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ミニバラ写真館

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ミニバラの育て方 黒点病

 黒点病はミニバラには必ず発生します。市販のミニバラが病気にかかっていないのは、雨の当たらない大きな温室で栽培しているからで、家庭で屋外で栽培すればどんなに消毒しても罹患します。それくらいに考えておいた方が良いくらいです。

 (一時無農薬栽培で防げるかと思い、米ぬかや電解水利用など随分挑戦しましたが、ミニバラでは無理でした。普通のバラなら抵抗力があるかもしれませんが、ミニバラで無農薬栽培は一般家庭では不可能と実感しました。)

 このことは雨の当たらないベランダ栽培に向いていることを意味しています。ミニバラは比較的光線が弱くても栽培できますし、弱い光の方が色合いが良いこともあります。

 (平成24年の気候では、直射日光に当てなければ順調に育てられませんでした。春先の気候が寒暖の差が激しかったからだと思います。黒点病さえ防げれば露天栽培の方が立派な花が咲きます。スリップス被害は別ですが。)

 それでも屋外で栽培することは当然あります。その時は通常のバラと同じように、予防薬(ジマンダイセンなど)治療薬(ラリーなど)を使って出来るだけ発生を抑える努力をすることになります。

(追伸2014.5.)最近画期的な黒点病用の農薬が発売されています。名称はサルバトーレME。いつまで効果があるか判りませんが今のところ効き目は顕著のようです。

 バラ栽培で必ず推奨しているダコニールは、ミニバラには葉に薬害が出る事が多いので私は使わない事にしました。
 またバラ栽培の本や園芸店などで推奨しているサプロールは耐性菌が蔓延してほとんど効果がありません。また連用を進めている本もありますが、原則的にサプロールは治療薬で連用すれば耐性菌を生じやすくなるので使用はお勧めしません。

 根本的対策は病気が発生しない時期から予防する事が原則です。今になって改めて痛感します。予防薬(ジマンダイセン、ビスダイセン、オーソサイド水和剤など)を1週間から10日間隔で散布して、葉の表面を薬剤でコーティングし、菌の発芽侵入を防ぐのです。(この薬剤にたどり着くまで随分時間がかかりました。)散布で2週間の間隔をあけると結局発生を見て余計な手間になります。間隔を短くする事が一番効率的防除の気がします。

 ジマンダイセンなどの予防効果は、有効成分の硫黄分が葉に付着し、少しづつ葉の表面に流れて菌が繁殖するのを防ぐという機構のようです。したがって雨が多いときは、散布期間を短くすることが必要になります。

 さらにパラフィン系の展着剤(アビオンE、スカッシュ、ニーズ、ペタンVなど)で葉の表面に雨から葉を守る層を作る事が予防効果を高めるようです。ただ薬液が濃く付着するため薬害が出ないように注意する(薬剤の濃度を薄めにするなど)必要がありそうです。

 時間が立って予防効果が無くなり、葉の表面黒点病の菌が発芽すると葉の組織に侵入し、5~6日後に黒く発症します。黒く見えたと言う事は5日前に発芽して侵入した事を意味し、まだ他の葉に黒点が出ていなくてもすでに罹患している可能性があると言う事です。この時は治療薬(ラリー、フルピカフロアブル。最近はサプロールは効かなくなっているようです。)を予防薬に混ぜて散布します。(予防薬でまだ罹患していない葉を保護します。治療薬の効果は3日ほどで切れてしまうようです。)

 発生初期に黒点病を見つけた時は、その葉ごと葉柄までむしり取った方が拡大を防ぐのに有効です。そのまま付けておいても葉は必ず落ちますので可哀そうではありません。(黒点病の病菌は葉だけでなく葉柄にも着いています。これを残すとそこからまた飛散します。)

 黒点病(正式には黒星病というようですが、黒点病のほうが慣れていますのでこちらの名称を使います)の病原菌は、糸状菌です。糸状菌は世界で20万種以上もあり、カビもキノコも、足の指につく水虫も糸状菌です。

 黒点病は、バラの葉の表面や裏面から葉の組織内に侵入し、栄養を吸収しながら繁殖して、分生子(無性胞子)を作ります。生きている葉でしか繁殖できないようです。(ただし有機物(枯れ葉や支え棒)の上で分生子は1カ月以上生き残る)

 うどんこ病も糸状菌ですが、組織内に進入しないで、葉の表面に繁殖し、吸器を表皮細胞に差し込んで養分を吸収するので、防除の仕方が異なります。

 黒点病は、葉の組織内で作った分生子(無性胞子)を、葉の表皮を破裂させて飛び散り、雨滴によって拡散します。発芽適温は18℃、感染の適温は19~21℃だそうですから、梅雨と秋のころが一番発生するのですね。
(注、平成19年の冬は12月でも黒点病が蔓延していました。必ずしも気温が低くなれば発生しないわけではなさそうです。)

 黒点病の分生子(無性胞子)は、有機物の表面で1ヶ月生存するそうです。冬や夏はもっと永くなります。そのため、落葉や枯れ枝の除去が蔓延防止に役立つのです。

 バラの栽培家は、防除と治療に悩まされるわけですが、農薬の性質と働く作用機構を整理しておきましょう。

 糸状菌(真菌類)が繁殖する際には、細胞膜を形成するための、エルゴステロールという物質を必要とします。
 黒点病の特効薬と言われるサプロールは、このエルゴステロールの生合成を、阻害することにより効果を発揮します。他にも、同じ作用機構で効果を発揮する農薬に、マネージやラリー乳剤などがあります。

 この他に、糸状菌のエネルギー代謝を阻害する銅剤、酵素の活性を阻害するダイセン類、酵素タンパクに作用するダコニール、栄養取り込みを阻害するフルピカフロアブルなどがあり、農薬の開発は日進月歩です。

 以下は、私の考え方です。科学的根拠はありませんのでよろしく。

 黒点病の治療は、不可能と考えます。サプロールなども黒点病の分裂を阻害するだけです。
 動物が病気にかかったときに、薬を与えると治りますが、これは動物の血液に白血球やリンパ球、抗体物質があって、弱らせた病原体を攻撃し退治するからです。
 植物には、病原体に感応するホルモンはあっても、白血球のような積極的防御体制は聞いたことがありません。

 黒点病にかかったバラが、葉を落とすのは、進入した病菌を本体に入るのを防ぐのを防止するため、自ら葉の付け根に離層を作り落葉するのではないでしょうか。
 一度進入した黒点病は浸透性農薬で繁殖は抑えられても、死滅しないので、必ず再発すると思います。

 こう考えると、黒点病の根治は、葉に菌が進入しないように予防するしかないようです。

 黒点病菌が葉に浸入してから、病徴が表れるまで3~16日かかります。また黒点病の分生子(胞子)が発芽して葉に浸入するためには、7時間以上濡れていなければいけないそうです。そのため、乾きにくい夜の散水は警戒されています。

 この7時間以上濡れていなければならないと言うことは、防除の大きな観点になりそうです。新芽にかかる雨粒をよく観察すると、みんなコロコロと球になって流れていきます。雨がべったりと葉につくのは、完全に開ききった古い葉です。

 このことは新芽につくうどんこ病と異なります。黒点病の予防対策は、葉に水が長時間付着するのを防ぎ、または葉に着いた病菌が発芽しないようにすることを主眼にできます。

 ここで、黒点病の予防薬と治療薬について考えます。
 一般家庭では、サプロールが治療薬として多用されていますが、農薬の使用基準では年5回に制限されています。これは耐性菌の発生を防ぐための制限です。

 しかし、現実には家庭ではその制限回数を超えて、サプロールを撒き続けているのではないでしょうか。それでもポチポチと発生し続ける・・・。おそらく耐性菌を生産しているようなものです。しっかりした生産者以外から入手したミニバラには、サプロールにも耐性のついた菌がついて、栽培場所に入り込んでしまっている可能性が高いのではないでしょうか。

(生産者から入ったばかりのミニバラは、棚に置くとすぐにうどんこ病を発生します。このことから、薬剤散布で病菌を抑えているというより、ナーセリーでは病菌が発生しない無菌環境で育てていると考えたほうがよさそうです。)

 予防薬と治療薬の違いは、使用説明書に記載されている年間使用回数の多寡で判断できます。黒点病に効果のある農薬の制限回数は一番多いもので8回です。
 実は予防薬として多用されているダコニールも制限回数は6回です。農薬の使用回数などは、一覧が載っているのを見つけましたのでこちらを印刷しておくと便利です。

 夏は黒点病の生育適温を越えるので、勢いが弱り、完全駆除に絶好のチャンスだと思います。まず、落葉をきれいに掃除し、夏越しをする菌のよりどころをなくします。

(追伸 鉢植えの株の根元に黒い透水性のシートを丸く切り抜いて敷き、土の跳ね上がり防止と、枯葉を取りやすくする工夫を教えていただきました。これも良い方法ですね。)

 次に、すでに展開している葉に黒点病予防薬のジマンダイセンかビスダイセンを散布します。(ダコニールは、散布後に強光線にあたると葉が薬害で黒くなりますので、春から夏秋にかけての散布は避けてください。冬でも強い光に当たると薬害が出ました。特にミニバラはダコニールの薬害が出やすいので使用するのを止めました。)

 1週間後にダイセン類かオーソサイド水和剤を散布します。5~7日の間隔で(長くても10日)、予防薬を散布する事が一番楽な予防法だと実感しました。

 黒点病が発生しているようであれば、発病した葉は取り除き、治療効果もあるラリー乳剤(ラリー乳剤は殺虫剤のベニカXにも含まれています)を混ぜて散布します。発病はダラダラと続きますので、こまめに見まわって黒点の出た葉をその都度摘み取って伝染源にならないようにします。

(追伸 今は逆さにしても使えるハンドスプレーがあります。ミニバラが数鉢程度なら、これに100cc程度の農薬を作って散布すれば、手軽に行えます。手にスーパーでもらえるポリの袋をかぶせて、スプレーすると農薬が手にかからないので安心ですよ。これでかなりこまめに行えます。)

 水が葉につかないという点では、展着剤にパラフィン系のペタンVを使用してみました。これは園芸店には置いていませんが、ネットで手に入れました。これを撒いた葉は水をコロコロと跳ね返します。ただ葉の裏の気孔を塞いで影響ないかなど若干の心配はあります。)
(
 当初に、散布を7日~10日おきに行い(発生がひどい箇所は1週間ごと)、発生が治まれば、2週間程度空けてもよいかなと思っています。(ここまでは引き延ばせんでした。10日が限度です。)これを夏の間繰り返し、完全に押さえ込んでおくことが、今後のミニバラ栽培を楽にする方法ではないでしょうか。水虫菌と同じで、根治しておかないと再発するものとの覚悟が必要です。


 いまいろいろ苦労しているのは、春先に防除をしなかったツケだったと思っています。無農薬栽培は大地の恵を十分享受できる、地植え栽培の方なのでしょう。

(追伸 平成19年の夏場にしっかり黒点病をおさえたので、ヨーグルトイースト菌で抑えられるかと、散布しましたが、黒点病にはまったく効果が出ず、あとの治療に多大な労苦を伴いました。露天栽培での黒点病だけは、農薬に頼らないと乗り切れそうにありません。)

 以下は実際の事例の一部です。
2009.10.27
 今月も下旬に入って、24日から雨が断続的に降りました。24日の夜に降って、朝にはやんでいたので出かける前にアミスターとアグリチンキで簡単に消毒しました。ところが26日には変則台風の接近で一日中雨となり、薬液が流れてしまったことも考えられましたので、夕刻、小止みになったときを見計らって今度はアグリチンキと月桃エキスを散布。

 朝になってみたら、心配された台風はたいしたことがなく、よい天気となっていましたので、雨が乾く前に今度はフルピカフロアブルを簡単に表面に散布して出かけました。

 これで21日から合計4回の散布を行なったことになります。これで黒点病がまた発生すれば、手の打ちようが無いです。黒点病の発生が抑えられれば、雨上がりの散布でも効果が有るということになりますので、しばらくこの方法を続けようと思います。

 結果はおそらく1週間後にはわかるでしょう。

2009.10.23
 雨の次の日に農薬を散布しなかったせいか、古い葉に黒点病が大出現してしまいました。
病兆の出ている葉は出来る限り取り除き、治療予防薬として、フルピカフロアブルを葉の表面に散布しました。

 これまでの経過からすると、黒点病は雨が降り続くと必ず発病しています。どんなに予防薬を散布していても発病しますので、散布方法を変更しようと思います。

 これまでは、15日おきとか1週間おきとかに散布していたのですが、雨が降らなければ発病しません。そこで雨が降ったら葉が乾かなくても急いで治療薬を散布して菌の発芽を抑えてみたいと思います。

 黒点病が出ないと、花の勢いが違いますので、なんとしても露天でも抑える方法を見つけたいですね。神代植物園や京成などのバラ園では露天でも黒点病が出ていません。なにか方法があるはずなのですが。

2009.9.12
 月桃エキスを8月27日に散布し始めてから今日で15日が経過しました。これまで3回散布し昨日の夕方も散布して4回です。はやく葉の表面にアグリチンキの菌や在来菌が繁殖して抵抗性を高めてもらいたいと、頻繁に散布しています。

 試験品種の16品種のうち強そうなものを雨の当たるところに出したのですが、とうとう黒点病に罹患しました。それまで茂っていた葉がほとんど落ちます。月桃エキス混合をしっかり散布していたのですが、成長してしまった葉では防除できなかったようです。

 ミニバラの全体的には新しい葉が出てきていますので、そちらに自然の抵抗力が着いてくれないか、期待しているところです。古い葉は表面のワックス分がなくなるため抵抗力が落ちるのでしょうね。今日は雨ですから試せませんが、今度は展着剤にワックス分を使って月桃エキスを散布してみようかと思います。

 これで9月に予想される長雨に起因する黒点病の蔓延が、少しでも抑えられたら嬉しいのですが。

ミニバラ栽培を始めてまだ日が浅いですが、これまでの経験と本などを元に黒点病(黒星病)について考察してみたいと思います。

信頼できる黒点病対策のページを見つけましたので添付しておきます。

http://www.muratabaraen.jp/庭づくりの実践/病害虫防除/黒星病の防除/



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